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「危機をブランドに変える ― 香川発・防災クラスター構想」
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11ネット 顔の見える士業等のネットワーク 企業保険の11ネット/リスクコンサルタント 礒村 安倫
インドのモディ首相は自国の伝統文化であるヨガを世界へ発信して、外交や観光や経済にまで広がる国家ブランドへ育てました。近年ヨガは単なる健康法ではなく、インドという国の価値を高めるソフトパワーになっています。では、日本が世界へ発信できるブランドは何でしょう。 その一つが「防災」です。政府は今年夏に策定する成長戦略で、防災・国土強靱化を重点分野の一つに位置付けました。重機の遠隔操縦や人工衛星を活用したインフラ点検、水再生処理技術などの開発を支援し、防災関連産業の海外売上を2030年までに約2兆円へ拡大する目標を掲げています。これまで防災は「災害への備え」と考えられてきました。しかし今、防災は地域経済を支える新しい産業へと進化しようとしています。日本にはかつて「企業城下町」と呼ばれる地域が数多くありました。自動車や鉄鋼、造船など、一つの中核企業を中心に関連企業が集まり、技術が蓄積され、人材が育ち、地域経済が発展しました。これからは「防災産業」がその役割を担うのです。香川県や四国は南海トラフ地震という大きな課題を抱えています。 しかし、その課題は見方を変えれば、世界が必要とする防災技術や商品、サービスを生み出す原動力にもなります。事実自然界では、動物も植物も環境に適応しながら進化してきました。地域経済も同じです。環境そのものは変えられませんが、その環境に適応することで新しい価値を生み出すことはできます。南海トラフ地震という現実を悲観するのではなく、その環境を強みに変える発想がこれからの地域づくりには必要ではないでしょうか。香川県には、製造業・建設業・IT企業・物流会社など、多様な企業があります。防災DXや非常用電源・水処理技術・通信システム・BCP支援など、それぞれの強みを組み合せれば、一社では実現できない商品やサービスを生み出すことができます。もちろん、防災ブランドは企業だけでは育ちません。自治体は実証フィールドを提供し、大学は研究開発を支えて、金融機関は資金や販路を後押しをする。そして地域企業が連携して新しい価値を創り出す。この産学官金の連携こそが、「香川発・防災ブランド」の原動力になります。こうした取り組みが進めば、防災ブランドは一つの商品で終わりません。防災技術を持つ企業の周りに部品メーカーやIT企業、物流会社などが集まり、新しい産業クラスターが形成されます。かつての企業城下町のように、防災を軸とした企業ネットワークが地域経済を支える時代が来るかもしれません。その結果防災関連企業や研究開発拠点が集まり、人材と雇用が生まれます。地域の安全性は住みやすさだけではなく、企業が投資先を選ぶ新たな競争力にもなります。いつの日か、「シリコンバレーはIT・デトロイトは自動車・そして香川は防災」と世界で語られる。そんな未来は決して夢物語ではないのです。防災はコストではありません。 地域の未来への投資です。危機を恐れる地域ではなく、危機を価値へ変える地域へ。行政だけでも、一社だけでも、この未来は実現できません。地域企業が自治体や大学、金融機関と連携し、それぞれの強みを持ち寄ることで、「香川発・防災ブランド」は世界に誇れる地域ブランドへ成長していくのではないでしょうか。
以上
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