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災害を乗り越える「知恵」と「備え」なりわい再建補助金とBCPの密接な関係
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企業保険の11ネット/リスクコンサルタント
礒村 安倫

 みなさんは「なりわい再建補助金」という制度をご存じでしょうか。この補助金は、一般的な設備投資や販路開拓を目的としたものとは異なり、地震や水災などの大規模災害で被害を受けた中小企業が、事業の復旧・再建を行う際に活用できる国の支援制度です。最大の特徴は、復旧費用に対して最大3/4という高い補助率が適用される点にあります。支援額も大きく、数千万円から場合によっては億単位に及びます。工場や店舗の修繕、機械設備、車両、システム復旧など、事業再開に必要な費用を幅広くカバーします。災害時に企業が直面する「多額の復旧資金」や「資金繰りの悪化」に対して、非常に有効な制度といえるでしょう。
 一方で、見落とされがちな重要なポイントがあります。それは、この補助金が原則として「後払い」であるという点です。実際に資金が入るのは、復旧が完了し、支払いを終え、実績報告が認められた後になります。つまり再建の途中では、多額の資金を自社で立て替える必要があります。売上が止まり、手元資金が減少する中で、この「資金の空白期間」をどう乗り切るかは、経営における大きな分かれ道になります。
 さらに、この補助金は計画の具体性が厳しく問われます。「どのように復旧し、どのように事業を継続するのか」。その道筋が明確でなければ、再建の実現性は低いと判断されてしまいます。少し視点を変えてみましょう。もし海で遭難した場合、現在地も分からないまま泳ぎ出すでしょうか。まずは状況を把握し、進む方向を見極めてから行動するはずです。
 企業の災害対応も同じで、事前の整理がその後の結果を大きく左右します。特に香川県においては、南海トラフ地震への備えが現実的な経営課題となっています。被災してから考えるのでは、時間が足りません。ここで重要になるのがBCP(事業継続計画)です。BCPを策定している企業は、優先業務、代替手段、復旧手順、そして資金計画まで整理されています。「何から復旧するのか」「いつ再開するのか」「資金をどう確保するのか」が明確です。
 この違いは、なりわい再建補助金の活用にもはっきりと表れます。計画が具体的な企業ほど、申請の精度とスピードが高まり、再建までの時間も短縮されます。その結果、売上の早期回復や取引先からの信頼維持につながります。なりわい再建補助金は非常に有効な制度です。
 しかし、その効果を最大限に引き出せるかどうかは、平時の準備にかかっています。事前の備えがある企業と、そうでない企業。この差は、災害時に「再建できるかどうか」という結果の差として現れます。
 将来の不確実性に備え、事業と雇用を守るための一つの選択肢として、BCPの策定や見直しを検討してみてはいかがでしょうか。今の備えが、いざという時の経営を大きく支える力となります。

以上
 
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